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ご参考にされて下さいね
ホームページをご覧の皆様、はじめまして。
山口県岩国市で小規模デイサービスを運営している藤本です。
7年間の現場の経験を経て15年前に独立して以来、常に人手不足に悩まされてきました。
人手不足と言っても大規模施設には大規模施設なりの、小規模施設には小規模施設なりの悩みがあると思います。
私たちもスタッフが足りないことがある度に色々と工夫をしてきました。ここではどんな施設でも通用すると思う工夫を書いてみたいと思います。
もしかしたら私たちの経験が少しでも皆さんのお役に立てるかもしれません。ご参考にして頂ければ幸いです。

人手不足とひとくちに言っても、ご自分の施設の状況を整理する必要があります。
足りないのは、ケアの現場のリーダーや管理者ができる人(人材)なのか、最前線でケアにあたる介護職(人数)ですか?
このコンテンツではケアの現場のリーダーや管理者ができる人(人材)がいるという前提で、最前線でケアにあたる介護職の人数が足りないときの工夫について書いていきます。
なぜなら、リーダーや管理者ができる人(人材)がいないのは、工夫だけではすぐには何とかならないからです(笑)
このコンテンツで『リーダーや管理者ができる人(人材)の育て方』なんて出来ればいいのですが、まったく持って自信がありません。
そんな人材を育てたことが無いからです(笑)
リーダーや管理者ができる人(人材)を育成する方法を知りたい方は専門の講座を受けた方がいいと思います。
ちょっと話はそれましたが、なぜリーダーや管理者ができる人が必要かを説明します。
『
中心なき組織は機能しない』
ID野球を駆使してプロ野球界に多大なる功績を残し、昨年亡くなられた
プロ野球の名将「野村克也』さんの言葉です。
「
エースや4番といった見本になる選手がいないと組織は機能しない」という意味だと思います。
エースと4番を介護現場に求めるのはさすがに無理があると思うので、
私は、介護現場に当てはめてこう解釈しました。
「
決断をすることができて、責任ととる覚悟のある人がいない組織は機能しない」
私が考えるリーダーや管理者ができる人というのは、経験があるとか年齢が上とか役職があるとかではなく
「
決断をすることができて、責任ととる覚悟のある人」
になります。
「そんな人いない…」そう思っていませんか?
いやいや、各施設に一人くらいはいるはずですよ、決断できる人は。
難しいのは、「責任を取る」と言える人です。誰でも嫌ですよね責任を取るのは。
どうしましょう…口にしなければいいんです。グレーゾーンでいきましょう(笑)
なぜかというと、
自分の持っている資格や役職以上の責任は問われないからです。
「責任を取る」つもりで決断して、上司や管理者や経営者に責任を丸投げしましょう(笑)
ま、半分は冗談で半分は本気です。
そう考えないと前に進めませんからね。
ということで、ここから先は
決断できる人がいる前提で、
人手不足を乗り切る工夫について書いていきますね。

皆さんの現場で行われている業務にはどんなものがありますか?
業務っていうと漠然としていますかね…
具体的に言うと、直接利用者に関係することも含めて、一日のスケジュールに組み込まれたあなたの仕事のことです。
人手不足を乗り切るには、一日のスケジュールに組み込まれたあなたの仕事を
@介護職がやるべき仕事
A介護職でなくても(ボランティアさんや外注など)出来る仕事
B慣例でやっているけど実はやらなくても困らない仕事
|
に分けて考えましょう。
@についてはわかりますよね。食事や排泄や入浴のケア、認知症の方が困っているときの対応等です。
Aについては、各施設で違いがあるとは思うのですが、食事の準備やシーツ交換、洗濯、ボランティアさんでも対応できる利用者の趣味活動の支援などが当たるのではないでしょうか。
問題はBです(笑)
慣例でやっているけど実はやらなくても困らない仕事
あんまりはっきり言うと嫌われるので言いたくないのですが、
例えば
10時と15時になると、だいたい残されることの多いお茶を全員に出す
1度起こして着替えさせてまた寝かせる早朝の離床介助
毎朝の検温
異常に多いイベントとその準備
イベントでの職員の出し物
|
理由は以下のようになります。
水分補給なら何種類か用意して、飲みたくなるもの飲みたくなる時にをだす方が意味がある。
起床時間を一緒にするからこうなる。バラバラに起きてくればいい。
病院に入院してる人でも毎日測らない。朝測って夕方入浴とか。測る必要のある時に測る方が合理的。
施設長の対外的なアピールの為にやっていることが多い(笑) 介護職にそんな時間はない!
大体が中途半端な出し物になるから(笑)
|
こういう業務を見直すだけで、少しは人手不足を解消できるはずです。
参考にされて下さいね!

段取りとは事前の準備のことです。
あらかじめ人手が足りなくなる時間を予測して、そうならないように手を打っておくとも言い換えられます。
例えば、
@レクの準備(何をするかを含めて)をやっておく。
Aこの人はこの時間にトイレに行くだろうから、介助に入るために、その前に別の仕事を済ませておこう。
Bこの人はきっとこの時間に施設を飛び出すだろう(笑)から、車と運転手の手配をしておこう。
|
個人としても段取りは大事ですが、施設としてもチームでの段取りをやっておくと、
その瞬間の人手不足の解消につながります。
参考にされて下さいね!
皆さんの施設でもありませんか?
人が足りてるはずの時間に、なぜか人が足りない(笑)
だいたい、仲の良い職員が固まっていることが多いです。仕事を手伝っているふりをして。
介護職の仕事で、二人でないとできない仕事はほとんどありません。介護度の重い人の介助は二人必要かもしれませんが、あったとしても二人必要なのは少しの時間だったりします。
それ以外の時間に固まって仕事をしている人はゆとりがあるんです。実は暇なんです。仕事を待っています(笑)
決断できるリーダーが、仕事を割り振ってあげましょう!
それだけで人が一人増えます。
ぜひ参考にされて下さい!

ケアの時間をずらす…いったいどういうことでしょう?
例えばトイレ誘導を例に考えてみましょう。
レクの前にトイレの声掛けをするケースがあると思います。
「みなさん、もう少しでレクが始まりますからトイレに行っておいてください!」
このように大きな声で伝えるとどうなりますか?
・3つしかないトイレに10人が一斉に向かう。
・職員が二人しかいないのに、介助が必要なお年寄り三人がトイレに向かってしまう。
|
物理的に不可能なことが起きてしまうのです。
人手不足の発生です。
こうならないためには、
個々のお年寄りのトイレの間隔や介助に入る必要性、そしてトイレの時間の長さ(笑)を考慮しながらトイレに誘導する時間をずらす必要があるのです。
こういう対応は、現場でお年寄りの特徴を知っている皆さんなら問題なくできるはずです。
そして大切なことは、
一人一人に小さな声でそっと(笑)声を掛けることです。
人は、誰かがトイレに行くと自分も行きたくなりますから、絶対に小さな声で声を掛けましょうね!
またこんなケースはどうでしょうか。
スタッフが4人、食事介助が必要な人が5人いるとします。
どうしましょう…
「一人で二人を見ればいいじゃん!」
「お〜、さすがですね…ってダメですよ、そういうのが
事故のもとです!」
「じゃあどうすればいいの?」
先程と一緒です。
食事の時間をずらしましょう。
誰か一人は食事が早くなっても遅くなっても差しさわりのない人がいるはずです。
一人で食べても平気な人、一人だと怒りだす人、朝食が早い人など、お年寄りの特徴を考慮しながら考えてみて下さいね!
「排泄の時間をずらす」「食事時間をずらす」までやりましたので、入浴の時間もずらしてみましょうか(笑)
例えば、デイサービスのサービス提供時間が7時間だったとします。
昼食に1時間かかるとしてそれ以外の時間は6時間になりますね。
その日に入浴する利用者が10人いるとすると、6時間(360分)÷10人=36分
この場合、1人当りの入浴に掛けられる時間は36分になります。
これを、通常は昼食に充てられる1時間の間にも入浴を行っているとしたらどうなるでしょう?
7時間(420分)÷10人=42分 ですよね。
1人当りの入浴に掛けられる時間は42分になりますよね。
1人当りの時間は6分増えました。この時間でなにか別のケアが出来るかもしれませんよね。
「じゃあ昼食時間にお風呂に入る人の食事はどうするの?」
時間をずらして食べて頂くのです。
「みんなと一緒に食べられないのは可哀そうじゃないですか?」
私の答えはこうです。
時間内に終わらせようと、湯船につかったそばから「疲れるから上がりましょう(笑)」の方が可哀そうじゃないですか?
この人の本当のニーズは、
「決められた時間にお風呂に入りたい」ではなく、
「ゆっくりお風呂に入りたい」のはずです。
「決められた時間に食事をしたい」ではなく、
「せかされずにゆっくり食事をしたい」のはずです。
|
このように、
同じ時間にケアをせず、利用者の特徴を考慮しながらケアの時間をずらすことで、少ない人数で可能になることがあります。
また、ケアにかけられる時間も増えますので、ぜひ参考にされて下さいね!

優先順位ってどういうことでしょうか?
お年寄りへの直接のケアがそれ以外の業務に優先するのは当然のことですので、個々では割愛します。
ここで言いたいのは、たくさんあるお年寄りへのケアの中でも優先順位をつけて応えていくということです。
食事や排泄・入浴のケアでいえば、最優先されるのはもちろん排泄ケアになります。
「食事中であっても、尿意便意を訴えたら中断してトイレに連れていく」
これを『排泄(排便)最優先の原則』といいますのでここは間違えないでくださいね!
一見非効率なようですが、排尿や排便の失敗の後始末をするときに取られる時間や人手に比べたら大したことはありません。
では、お年寄りにお願いされることや個別の趣味活動についてはどうしたらよいのでしょうか?
これは、一概には言えません。
参考までに私の考え方を言いますと、基本的には頼まれた順番を優先します。
それだと、色々な不都合が生じてしまう時には、事前にお年寄りと交渉して順番を変えてもらうこともあります。
その時に重要なのは、トラブルにならないように細心の注意を払うことですね。
それでもトラブルになったときはどうしましょう(笑)
もう誠心誠意謝罪することです。
それしかありません。
私たちもお年寄りを怒らせてしまったことがありますよ…
便失禁があった方がいた関係で、入浴の順番を飛ばされたことに怒って
「もう入らん!」
と拒否されました。
私たちの配慮が足りなかったことが原因でしたので、ひたすら謝りました。
どうなったでしょう…
私たちの奮闘もむなしくその日は入って頂けませんでした。
何事も予定通りにはいかない介護の現場ではよくあることです。落ち込んでも仕方ありませんから、次からは細心の注意を払っています。
もう一つ大切な例を挙げます。
私の施設で実際に合ったケースで考えてみますね!
定員10人のデイサービス。1日のスタッフは4人です。
60代の男性Mさんが利用することになりました。
若年性の認知症です。背が高く、若くて健脚で、若い頃に少林寺拳法を習っていました。
デイサービスに来ても施設に入りたがらないし、入ってくれてもすぐに「家に帰る」といいます。そして帰れないと顔が険しくなり、不機嫌になります。
しかしMさんはドライブをしていると落ち着いています。施設内での顔がウソの様です。
さあどうしましょう?
スタッフがギリギリなうえに、
マンツーマンでの介護が必要そうです。でもそれをすると4人で10人のケアが、3人で9人を見ることになります。
何を優先すべきでしょう?どうすれば人手をかけずに良いケアができるのでしょうか?
結論から言いますと、
私たちは、何とかして施設内にとどまってもらうのではなく、ほぼ1日マンツーマンでドライブに出る方を選びました。
その理由は2つあります。
@Mさんがドライブ中はとても穏やかな顔で楽しく過ごせていること。
AMさんに施設にとどまってもらっていると、お互いに不都合が多いのです。
|
@に関しては、説明はいらないですよね。私たちは
その笑顔が見たいから仕事をしているのですから。
問題はAです。Mさんを本人の意に反して施設内で過ごしてもらおうとすると、どんなことが起こるのでしょうか?
まずは、「帰る」「帰らないで」のやり取りにつかれて、
お互いの関係が悪くなります。
次に、
4人のスタッフが残るので確かに数は多いのですが、Mさんの機嫌が悪くなれば、1人で対応していたスタッフに、
1人また1人とスタッフが応援で(笑)寄ってきます。
結局1人の利用者を3人で見ているなんてことが起こるのです。皆さんこの事実に気づいてないのです。その時間は他の利用者に気を配れませんから、非効率ですよね。
さらには、
他の利用者の前で、スタッフと「帰る」「待てって」を繰り返すと、Mさんの評価が下がります。あまり良い印象を持たれなくなるのです。
「
お年寄りに恥をかかせない」というのは
介護の原則ですから、そういった場面を作らない配慮も必要になります。
1対1のドライブは一見してみると非効率的で優先すべきことではないかもしれません。
しかし、
視点を変えてみてみると、非効率的な介護(ドライブ)にもトータルで見ると効率的な面があるのです。
本当の効率を考えるには広い視点が必要です。
目先の効率に惑わされずに、トータルで考えると上手くいくことがありますので参考にされて下さいね!

最初に、決断して責任が取れる、ケアの現場のリーダーや管理者ができる人(人材)が必要だと書きました。
その理由を説明します。
私が聞いた話ですが、例えば誰もが知っている「餃子の王将」では、料理を提供するときには、
注文を受けてから最短で料理が提供できるように、リーダー的立場の人が調理担当のスタッフに仕事を割り振ります。
そして、調理担当のスタッフの手が空いていないときは、自らが調理に入ります。
フリーな立場で現場の状況を見て、その瞬間のチームとしての最善策を取っているのです。
もしこのリーダーがいなければどうなっているのでしょうか?
おそらく注文が入った瞬間から、
「俺がやる」
「私がやる」
「いやお前がやれ」
「こっちは忙しい(笑)」
誰が仕事を請け負うかを決めるのに時間がかかり過ぎてしまうのです。
さらに問題なのは、
「いま人手が足りてないところはどこか?」
を気にする人がいない
ことです。
料理の提供を忘れたり、遅くなったりとお客さんに迷惑をかけてしまうことになるのです。
介護の現場に当てはめると、10人のデイサービス利用者がいるとして、4人のスタッフがいます。
その4人のうち1人、フリーな立場のリーダーがいればいいのです。
その
リーダーが、利用者さんの状況や仕事の進み具合を見て、3人のスタッフを動かし、足りないときには自ら動くということになります。
4人で10人の利用者を見るということは、4人が4人利用者についてしまえば、残りの6人の利用者の状況を見る人がいなくなります。
そうすると、不意の事故や、クレームにつながります。
「リーダー1人残して3人で10人は余計に大変になりませんか?」
そんな質問も受けました。
私の答えはこうです。
「
リーダーは、10人の利用者の訴えを予測して、それが重ならないようにケアに当たる時間をずらしながら3人のスタッフで要望に応える。」
この「
ケアに当たる時間をずらす」というのがポイントであり、リーダーの腕の見せ所です。
そして、ケアの時間が重なりそうなときは、
優先順位を間違えないように、少し待てる人には上手に交渉して待って頂き現場を回していく必要があります。
この
優先順位の決断と交渉力も大切ですね。
ケアの現場のリーダーや管理者ができる人(人材)は、このようにフリーの立場で働いてみて下さい。
間違いなく人手不足は解消しますよ!