生活とリハビリ研究所の三好春樹さんが大変な状況でも現場でお年寄りの為に働く介護職の為にエールを送ってくださいました。ぜひご覧下さい!

介護って良い仕事だな、とつくづく思っています。
私は24歳の時に特養ホームに就職し、4年半介護職として入浴介助などをしました。その後3年間学校に行き、さらに3年間、今度はP.Tとして同じ特養で働きました。
フリーになってからも、在宅や施設の介護に関わってきましたが、次第に講師の仕事の割合が増え、現場に直接関与することがなくなりました。
そこに、新型コロナウイルスです。3月以降、仕事は無くなってしまいました。周りを見渡すと、私と同じようなフリーの講師や、音楽家たちも仕事を失っています。あんた達のやってることは「不要不急だ」、と言われているみたいです。
旅館やホテル、運送業といった観光客相手の仕事も倒産に追い込まれています。ついで飲食店だけでなく、外出自粛で商店は次々とシャッターを降ろしました。
変わらず営業しているのは食料品を扱う店やスーパーです。どんな状況でも人は食べなくてはならないからです。肉や魚、野菜なんかを扱う仕事は、日銭を稼ぐ、効率が良いとは言えない仕事ですが、こんな危機的な状況では強い仕事だといえるでしょう。「不要不急」なんかじゃありません。
医療という仕事はこうした時こそ必要で、病気に立ち向かう医療関係者へのエールが世界中で起きていますね。
こんな時に逃げるわけにはいかないのですから医師は大変な仕事だなあ、と思います。日頃抱いている高給を取る医師へのやっかみが少しやわらぎそうです。
食べ物、医療と並んで必要なのが介護です。非日常の中で命を守るのが医療なら、日常の中で命を守るのが介護です。
というのも、こんな事態だからといって日常を失ってしまうと、かえって高齢者の命を守れなくなるからです。
持病を持っている要介護高齢者の感染は、即、命に関わります。そしてその感染の最大の要因は介護職です。
なにしろ介護はテレワークなんて出来ません。それどころか"濃厚接触"そのものです。
だから今、介護職は自分の健康に気を付け、出来るだけ家から出ない生活を、一般の人以上に心がけているはずです。
家にいるといっても、優雅にソファーに座ってはいられません。家事と育児に追われて、睡眠不足のまま、また現場に駆け付ける毎日でしょう。
介護職の皆さん、発熱や体調不良のときには迷わず休んで下さい。それじゃ現場は回らない、確かにその通りです。
管理者、経営者の皆さん、今こそ人員を増やして下さい。急に応援に来てもらえる人はいませんか?以前職場にいた人が手が空いていれば声を掛けて下さい。
今、ハローワークには職を求める人がたくさんいます。体験も資格も興味もない人に介護を託すのは心配?でも私もそうでした。
介護の奥深いところは、専門的知識や技術より人生経験が役立つということです。若さと力で出来ることもあります。しばらくはそれで良いでしょう。その中から介護の面白さ、他の仕事にはない魅力を感じ取る人が出てくると思いますよ。
私の仕事は声がかかると出かけて行って話すというものです。今のようにどこからも声がないと、お前は必要ないと言われているような気になります。
その点、介護は良い仕事です。こんな事態でもなくなることはありません。それどころか、お年寄りが待っていててくれるんですから。「不要不急」どころか「必要火急」の仕事です。
私は今年で70歳(!)になろうとしています。だから介護現場にいても足手まといになるだけでしょう。でも「介護職に何かエールを」と言われて、自分も必要とされてるのかもしれない、と勝手に思ってこの文を書きました。少しでも「必要火急」になっていたら嬉しいです。

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